クリニックのロゴ作成を検討するなら

日常の様々なタイミングで見かけるロゴマークですが、「ブランドイメージの強い大きな企業が持つものでしょう?」と思われがちです。しかし、これは大きな勘違いで、ロゴマークはあらゆる規模の企業やクリニックなどの「顔」になる重要な存在と言えます。

その重要性、そして作成方法までを含めて、ロゴマークについて詳しく解説します。

ロゴは小さくまとまった看板です。文字やイラストの情報が少ない分、ただそれ一つだけで、その店舗や企業のコンセプトやイメージを伝えることができます。商品やサービスの場合は、パッケージにロゴマークがあれば「ああ、あの会社の新商品なんだ」と一目で理解して貰えます。

これはクリニックでも同じであり、例えば「小児科であれば赤ちゃん」、「歯科医院であれば歯や歯ブラシ」のイラストを使うことで、一瞥しただけで何の治療ができるかを理解させられるでしょう。病院のパンフレットや広告はもちろん、地域の情報誌などに載せる際も、ロゴマークの有無によって人の目を惹きつけるかどうかに差が出てくると考えられます。

クリニックでロゴを作成したいと思った場合は、「何を伝えたいか」を明確にしましょう。また、頭を柔らかくして連想クイズのようにして、デザインを検討することも大切です。小児科や歯科のようなはっきりしたイメージのないクリニック、例えば内科や精神科などであれば、「患者さんを包みこむ人や手」あるいは「笑顔のお医者さん」などのモチーフなどが考えられます。

イラストが難しい場合、クリニック名をこだわったフォントで表現するだけでも、十分にロゴマークにできます。例えば、「ゴシック」のフォントならカジュアル・ポップなイメージ、「明朝体」な上品・厳格なイメージ、更にフォントの太さで都会的・親しみやすい・力強い、といった具合に印象を変えていくことができます。

最後に、カラーについても最初に決めておくことが大切です。色に対しては「誠実で人に寄り添う」なら「青」、「明るく元気」なら「水色」、「安心感」なら「緑色」といった具合、人それぞれカラーから得られるイメージがあるからです。

様々な要素が考えられますが、全体的にあまり沢山のイラストやモチーフ、カラーを詰め込みすぎず、「もっとも表現したいもの」が何かに絞り込んでいくことを意識しましょう。

クリニックのロゴ作成で注意したいポイントは、何よりもまず「赤十字のマークは使ってはいけない」というルールです。もしも「今すぐに、病院の絵をかいて」と言われたとしたら、四角い建物に赤い十字マークを描こうとする人が大多数を占めることでしょう。

しかし、この「白地に赤い十字マーク」というデザインは、国際・国内法で使用が制限されたロゴマークであり、世界中のあらゆる病院・クリニックを含めて、自由に使うことはできません。正規のマークはもちろんのこと、十字の赤の色合いを少し変化させる・十字の大きさを変える、といった一部の改変も含めて禁止されています。

「赤十字マークは白地に赤十字だから、十字の色を緑にすればいいのでは」と考える方がいるかもしれません。この考え方は決して間違いではありませんが、例にあげた「白地に緑十字」の場合、日本では「安全・衛生の象徴」を示し、工場や工事現場などに用いられているマークです。

このように、様々なデザインの既存のマークが存在し、その大半には利用ガイドラインが存在していると考え、事前に調べてみることが大切です。

例えば、「車いすマーク」や東京都福祉保健局が作成した「ヘルプマーク」などを筆頭に、日常的に見かける医療関連のロゴマークも沢山あります。これらを改変・類似させたロゴにならないよう注意しましょう。コピーすることはもちろん、デザインや色合い、線の太さなどを似せてしまうとロゴを使い始めた後で著作権侵害などのトラブルになりかねません。

『おすすめのロゴ作成ツール及び商用利用目的でロゴ作成ツールを使う際の注意点を紹介』

「小さなイラストだから自分でも作れそう」と思われがちなロゴマークですが、「ロゴマークはクリニックのブランドイメージに直結する」、「ロゴマークは一度作ると変更が難しい」という点があるため、できる限り専門家に作成を依頼することをおすすめします。

なぜならば。「ロゴは小さいから作れそう」ではなく「小さいからこそ細部まで意味を持たせることになり、簡単なものではない」と言い換えることができるからです。ロゴ作成をプロに依頼する場合は、そういったサービスを行っているデザイン事務所などを探すか、個人事業主でデザイン業を行っているフリーランス人材を探すのがよいでしょう。

企業に依頼した場合、一般的にはイメージやブランドカラー等のヒアリングから始まるため、様々な作業を全て一括してお任せしたい時におすすめです。一方、フリーランスに依頼する場合は、クラウドソーシングサイトなどを活用することで、コンペ形式(沢山のデザイナーが手掛けた提案を見て、その中から一番よいと思ったものを採用する方式)を利用できます。

大量のロゴデザインの提案を貰うことができれば、自分では思い浮かばなかったような優れたロゴと出会える可能性も上がるため、おすすめです。ただし、依頼を発注する前に「どのようなコンセプトでロゴを作って欲しいか(カラーやイメージなど)」を伝える必要があります。

また、万が一気に入るデザインがない場合は再発注になるリスクもあるでしょう。

もしもロゴが完成したら、是非とも有効活用しましょう。例えば、クリニックの看板や窓ガラスにロゴマークを貼ることで、通りがかる人たちに病院の存在をアピールすることができます。また、クリニックのホームページ、パンフレット、名刺などにも是非使用しましょう。

統一して利用することで、多くの人に見られるきっかけも増えますし、「このログは、あのクリニックだ」というイメージが強くなります。また、活用し始める際は、最低限の利用ガイドラインを決めておくとトラブルを防止できます。

特にWEB上にデータがあると誰でも簡単に改変できてしまうので、思わぬ問題に発展することもあります。内容としては「改変(反転・回転等)の禁止」や「クリニックの紹介・リンクを貼る場合のみに使用可能」といった制限を設けておくと、いざという時に備えられます。

「〇〇クリニック」や「〇〇医院」という名前が並んでいる時、周囲との差をつける要因の一つはロゴマークです。クリニックのロゴが浸透すれば、「あの猫のマークの病院」といった口コミでの拡散力アップなどが期待できますので、特に、集客に悩んでいるクリニックなどは、ロゴマークを広告の一部として活用することがおすすめです。